天草のイシダイデータ分析

2004.9現在

ここでは1996-2004年9月の天草でのイシダイの釣果である天草のイシダイデータベース2に基づいて分析を行います。なにぶんデータが少ないので統計学的な正確さは望むべくもありませんが、ある程度の傾向はつかめると思います。

 

1.    季節によって釣れたイシダイの数

       月別のイシダイ釣果

月別にイシダイの釣れた数を見ると、6月が最多で4.5.7月がこれに次ぎ、この4ケ月で実に全体の60パーセントが釣り上げられている。これはいわゆる「乗っ込み」期にイシダイがよく釣れるということである。

9月には一旦釣果が落ち込むが、10.11月には再び盛り返し、第2のピークがやってくる。

そして、水温の低下する12.1.2.3月にはほとんど釣れなくなる。

データ数が少ないものの、見事に通説に従った結果が出た。

 

2.    場所によって釣れたイシダイの数

@  行政区分別イシダイ釣果

 

  天草のイシダイはほとんどすべて牛深市と天草町で釣れる。これはイシダイが黒潮の押し寄せる外海で生息することを考えれば当然である。

むしろ御所浦町や龍ヶ岳町のような内海に面した場所で釣れているのが驚きである。

ただし、後述するようにここでデータとして使用したイシダイはほとんどが2kg以上である。1kg前後のイシダイやイシガキダイはもっと生息範囲の広いことが考えられる。

 

A  エリア別イシダイ釣果

    エリア別に釣果を見てみると、大ケ瀬がダントツで、以下ガン瀬、中ノ瀬、小ケ瀬と全国的に有名なエリアが続く。 

長島海峡は道具の進歩で遠投釣りが可能になってから開発されたエリアである。

魚貫崎、十三仏、下田など、かつては有名だったエリアの凋落振りが寂しい。

 

B  磯別イシダイ釣果

エリアよりもう少し細かく磯別に釣果を分析してみるとまた面白い傾向が浮かび上がる。

上記有名エリア・磯が上位4つを占めるのは変わらないが、以前と違う新しい釣り場が開拓されつつあるのがわかる。

まず須口湾にある黒島の波止。手軽に渡れてシケにも強い安・近・短の釣り場である。

さらに新しいエリアである長島海峡では赤島が有力な磯であることがはっきりした。

高浜港も下田港亡きあと波止でイシダイの釣れる新釣り場である。

先人たちが苦労して開発したコシキ瀬。バクチ瀬、ビシャゴ瀬、リハビリ下などの近場の磯は「兵どもが夢の跡」になってしまうのか。

エリアまではどうにかわかってもどこの磯で釣れたかわからない魚が多すぎる。いい釣り場を人に知られたくないという気持ちはわかるが、魚種の保護の観点からもデータはできるだけ正確な方がよい。心ある石物師たちの協力に期待する。

 

C  60cm以上のイシダイが釣れた場所

 

イシダイの釣れたエリアを60cm級に限定してみてみると、また面白いことがわかる。

総数ではダントツだった大ケ瀬は、25匹中わずか4匹で長島海峡や片島と同数の2位に転落。4位の小ケ瀬も13匹中わずか2匹のみが60cm以上で、片島と同数の5位。

逆に大差の2位だったガン瀬は18匹中実に7匹が60cmオーバーでトップに躍り出た。中ノ瀬も15匹中4匹が60cm超級。長島海峡は8匹中半数の4匹が60cm級。

つまり、西海岸のイシダイは数は出るが型が小さく、牛深のイシダイは数は出ないが大型が多いということか。

長島海峡は最近開拓されたエリアなので場荒れが少なく大型が釣れるのかもしれない。

データベースの2を並べ替えていただくとよくわかるが、実は大型の釣れる磯・瀬は結構限定されている。ガン瀬の大ガン瀬(3匹)、小ケ瀬の南のカブリ(2匹)、長島海峡の赤島(2匹)、大ケ瀬のコッカケ(3匹)、中ノ瀬の東の本瀬(4匹)、片島(2匹)などが60cmオーバーが複数出ている磯・瀬である。

D天草のイシダイの大きさは

データベース2は熊本日日新聞社の『熊日釣りタイム』と釣り春秋社『石鯛倶楽部』に写真つきで載っていたイシダイをもとにしたデータだから、1kg級はそもそも除外されている。ある程度の大きさがなければわざわざ記念写真を撮って釣具屋で現認してもらったりしないだろう。また、釣った磯さえ明らかにしない釣り人も多いくらいだから、釣っても黙って持ち帰って食べてしまう釣り人も多いだろう。この分析の最初で統計学的に厳密でないと断ったのはこのような事情もあるのである。

したがって、ここでは、釣具屋に持ち込まれて写真に撮られたイシダイの大きさについて簡単に触れておく。

最長

80cm(2004年現在の日本記録は82.5cm)

最短

29cm(サンバソウですな)

最大重量

8.8kg(どうやって持って帰ったんだ)

最小重量

1.5kg(食べたらこれくらいが一番うまいらしい)

 

3.    餌によって釣れたイシダイの数

@  通年でみると

餌も磯と同様不明が多く、全体の半数近くが不明である。

判明しているものの中では最多がガンガゼ、次が赤貝で、その他の餌ではほとんど釣り上げられていない。

ただ、意外だったのはガンガゼと赤貝がほとんど同数だったことである。釣れる釣れないは別にして餌に使われるのはガンガゼが圧倒的に多いが、実際に釣れる餌は赤貝が多いということか。「下手のガンガゼ、上手の赤貝」だったりして。

もっともこの結論にいたるまでにはまだ問題がある。それは季節による餌の使い分けである。初期に赤貝を使い、暑くなったらガンガゼを使うのは常識である。そこで、一年を1-6月と7-12月の2期に分けて分析してみた。

 

 A前期と後期では

まず、1-6月に釣れた餌を分析すると、不明を別にすれば赤貝が一番多く、1/3以上を占める。だが、やはりガンガゼも多く、年間を通して使われる万能餌になりつつあるのがわかる。

 

7-12月では不明が最多だが、判明している範囲ではやはりガンガゼが圧倒的に多い。ほかにもバフンウニ、シラガウニなど、ウニ系の餌が強いことがわかる。おそらくウニ系の餌はいままでは釣れなかった「カワハギモドキ」のイシダイを釣り上げるようになったのだろう。

それにしても、全国的には人気の餌であるサザエはカケラも登場していないのも興味深い。

 

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