中等・大學・職業野球通信第12号
−泣くな別所!選抜の花だ!−
サヨナラ負けにベンチでうなだれる滝川中・別所
よく、「腕も折れよ」というが、本当に腕が折れても投げ続ける投手がいるだろうか?いたのだ、ここに。投手の名は滝川中の別所昭。
昨日行われた選抜中等学校野球大会準々決勝滝川中対岐阜商業。0−1とリードされた滝川は9回1死、二塁。4番青田昇の一打は三塁ゴロとなったが、岐阜の三塁手橋本が一塁に悪送球して二塁走者が還り同点。さらに一塁走者だった別所も本塁を衝いたがタッチアウトで延長戦突入。別所は岐阜・加納捕手との激突で左腕を骨折してしまった。
当然投手の交代と思われたが、何と別所は左腕を三角巾で吊っての続投。グラブの重みに耐えられずグラブを捨て、下手からのスローボールの連投となった。
別所はなおも11回の最初の打者まで打ち取ったが、遂に体力の限界を越え、捕手小林にマウンドを譲った。そして延長14回、岐阜のサヨナラ勝ちで試合は幕を閉じた。
敗れはしたものの大会随一の剛球投手別所の敢闘精神は我々を大いに感動させた。また、一度もバント攻撃を試みなかった岐阜商ナインのフェアプレー精神にも拍手を送りたい。
別所投手にぜひ次の言葉を送りたい。泣くな別所!選抜の花!
昭和16年3月27日