中等・大學・職業野球通信第3号
−人気者バッキー・ハリス帰国−
帰国したハリス君
職業野球の人気者、名捕手バッキー・ハリスが、去る10月22日、イーグルスを退団し、米国に帰国した。
夫人の出産のため、との由だが、最近しだいに悪化しつつある日米関係も影響しているのかもしれない。
ハリスは昭和12年の春イ軍に加入以来、本場仕込みの野球技術をふんだんに発揮して観客を魅了してきた。
強肩を生かした座ったままの一塁・二塁送球をはじめ、「ソノぼーるミセテクダサイ」と投手に話しかけて投手がハリスに向けてボールを投げたとたんにディレードスチールを敢行したり、打者の耳元で「モーモタロサン、モモタロサン」と歌って打ち気をそいだりと、確かな野球技術と生来持ち合わせたユーモアで我々を楽しませてくれた。
彼が帰国の船から投げたメツセージには次のようにあった。
「カナシクテ、カナシクテ、サヨナラガイエマセン。」
ハリス君、また機会があれば、ぜひ来日してその元気なプレーを見せて欲しい。その日の一刻も早く来たらんことを。
昭和13年10月23日