中等・大學・職業野球通信第4号
−裸足の嘉義農林、健闘して準優勝−
走りまくる嘉義農林・呉
去る8月21日、第17回全国中等学校野球選手選手権大会決勝戦が、愛知代表中京商業と台湾代表嘉義農林との間で行われ、中京商が4-0で快勝した。
敗れたりとはいえども、この間の嘉義の戦いぶりには目を見張るものがあり、我々を大いに楽しませた。
嘉義はなんと創部3年目。強豪松山商を育て上げた近藤兵太郎氏が心機一転、台湾に渡って育て上げたチームである。
日本、中国、高砂の3民族混成チームだが、共通点は快足。準決勝までの3試合で記録した盗塁は実に16個。準々決勝の対札幌商では8個と、大会に「脚の旋風」を巻き起こした。
だが、決勝では中京吉田正男−野口明のバッテリーが巧みな牽制と強肩で嘉義の脚を完全に封じ込めて盗塁はゼロ。これでは勝ち目がない。
しかし、近藤監督の下3族結束して優勝を目指す姿は我々に大いなる感動を与えた。
文豪菊池寛氏は次のように述べている。
「僕はすっかり嘉義びいきになった。異なる人種が同じ目的のために努力する姿はなんとなく涙ぐましい感じを起こさせる。」
昭和6年8月21日