中等・大學・職業野球通信第8号
−甲子園に怪物現る!神港山下大ホームラン−
第一神港商業山下実の本塁打
本年より全国中等学校野球選手権大会は新しく完成した兵庫甲子園球場で行われることになった。
甲子園は両翼が110メートル、中堅が119メートル、左中間・右中間にいたっては128メートルという米国の球場にも負けない怪物球場だが、そこでプレイするにふさわしい怪物選手が現れた。
去る8月16日、第一神港商業対早稲田実業の試合が4万人の大観衆の見守る中行われ、打撃戦の末神港が11-5で勝利した。
この試合、神港の4番山下実は5打数4安打、本塁打1本・三塁打2本と大当たり。特に3回裏、早実水上の1−1から投じた真ん中高めの直球をフルスイングすると、打球は右中間の最深部フェンスにワンバウンドでぶつける推定125メートルの大飛球。惜しくも柵越えは逃したものの、滑り込む必要もない楽々のランニング本塁打であった。
チームメイトからは既に「怪物」を略した「カイちゃん」のニックネームで呼ばれている由。
大學選手も及ばぬ一打を放った山下君のますますの精進と成長を期待しようではないか。
大正13年8月17日