幻の魚イシダイを求めて

-ど素人が無謀にも挑む!-

 

[いきなりの初釣り-2003.10.19]

 翌日は6時に起床して牛深に向かう。7時前には市役所近くの釣具屋に到着。

「本虫ください。」

「本虫、ないよ。」

 え、…。いきなり計画が狂った。仕方ない。ガンガゼでいこう。撒き餌がウニ主体の『デカバン』だし、ウニ通しも買ってるし。

 財布を出そうとして気がついた。げっ、昨日銀行から金を下ろしそこなっている。1,000円しかない。1個100円でも10個しか買えない。これじゃ1時間分くらいだ。

 何か餌がないか。今から海辺に捕りに行ったら朝マズメが終わってしまう。

 うーん。他の餌も高いか無いかのどっちかだし。もう仕方ない。開き直って、どんな魚も大好きの「海エビ」だ。冷凍で600円。これでいこう。

 餌を調達して目的の須口漁港の入り口防波堤に向かう。ところが、天草に3年も住んでいるのに牛深周辺は魚貫と茂串くらいしか釣行していないため、道に迷ってなかなか辿りつかない。どんどん時間が経ってもう7時半。

 しかも、目的地に行って愕然。ポイントの内側が埋め立て中。さらに波止の根元には「工事中につき立ち入り禁止」の看板。看板を無視して行っても、こんな大規模な工事がされた後では、イシダイのイの字も出まい。「無駄な公共工事(無駄かどうか知らんけど)フンサーイ!」と学生時代に還って叫んだ筆者であった。

 これだけ誤算が続けばもう笑うしかないが、気を取り直して、近くの須口港内波止に到着。いよいよ釣り始める。

 『デカバン』を折って放り込みながら仕掛けを投げ込む。仕掛けは道糸18号三叉スクリューサルカンハリスワイヤー39番針16号。ツケエは海エビの2匹掛け。

 しばらく何の当たりもなかったが、そのうちに竿先をクイクイと曲げる当たり。イシダイ竿の竿先に出るくらいだからそれなりの魚の当たりだろうと、ワクワクしながら待ったが、その後のグーン、はもちろん、ゴツゴツもなく、シーンと静まり返る竿先。仕掛けを上げてみるともちろん餌がきれいになくなっている。

 『デカバン』を放り込んでは仕掛けを投げ込む、これを100回くらい繰り返したろうか。当たりは相変わらず同じ。餌だけはどんどんなくなっていく。

 12時近くなって遂に決断。今夜のオカズを釣ろう。餌盗りの正体も知りたいし。磯竿1号にカワハギギャング釣りの仕掛けを付けていままでイシダイ仕掛けを放り込んでいたポイントに投入。早速竿先にクククッという当たり。すかさず合わせると、さすが「小物釣り師」。20cmくらいのカワハギが上がってきた。その後3枚を追加。40cmクラスのショウサイフグが釣れたときには1kgクラスのイシダイかと勝手に思った。刺身と煮付け用の獲物を確保した時点で餌の海エビがなくなったので、釣り終了。

 やっぱり海エビはイシダイも好物かしれないが、他の魚も大好きな餌。イシダイ釣りの餌って、イシダイが好きな餌というよりは、他の魚が食べにくい餌がこれまで選択されてきたような気がする。イシダイが群れできていない限り海エビでイシダイを釣るのは厳しいのでは、という教訓を得て、今回の釣りは終わった。

 ただ、須口港にはウニ捕りの漁師さんたちがウニガラをバンバン捨てているという地元の人の話を聞いて、なるほど、それで昔からイシダイが回遊してくるのか、と納得。貴重な情報だった。

 牛深港の満潮は15:46、干潮は7:40と22:05、潮は小潮であった。

 

教訓その1:餌は前日までに十分な量をそろえておく。

教訓その2:古い本で得た情報は本当かどうか再確認しておく。

教訓その3:イシダイ釣りは餌盗りとの戦いである。

 

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